エンディングノート
エンディングノートとは
ご自身の終末期や亡くなった後に、家族が様々な判断や手続きを行うことになりますが、その際に必要になる細かい情報や、ご自身の希望を記したノートのことを言います。
また、ご家族や大切な人、お世話になった方にメッセージを残すこともでき、ご自身の集大成とも言える『軌跡のノート』ではないでしょうか。
但し「エンディングノート」には遺言書としての法的な効力はありません。法的効力がない分、形式や書き方に囚われることなく、自由に様々なことについて書くことができるのが魅力でもありますね。
必要性
エンディングノートは、死後のことだけではありません。医療や介護の場面においても重要な事柄があります。ご家族が医療などの場面で決断を強いられた際にも希望の記載があれば、ご家族が悩むことなく判断ができますし、親族間の意見の違いからトラブルに発展することもあります。そういった意味でも必要と言えます。
また、物忘れが多くなってきたときに、一冊のノートにまとめておけば、どこにメモを残しておいたか悩むこともありません。そういった日常生活でも備忘録として役立つのがエンディングノートのメリットのひとつでもあります。
体調が悪くなってから書き始めることは、至難の業です。いつまでも健康でいられるといいのですが、必ず誰しもに「最後」は訪れます。体力、判断力があるうちに書いておくことが望ましいでしょう。
ポイント
●自由に様々な事柄について、何度でも書き直すことができます。
●自分しか知らないような情報は優先的に記入すると良いでしょう。
●月日が経てば様々な状況が変化するため、定期的にノートを見直して追加、変更を行いましょう。
●ご家族がノートの存在に気付かない可能性もあるため「エンディングノート」の存在を事前に伝えておきましょう。
主な項目
項目が用意されていることで、家族が知りたい部分の情報について容易に探し出せます。
一般的な項目ではありますが下記を参考にされてみてはいかがでしょうか。
自分のことについて
・本籍地・運転免許証・健康保険証・住民票コード・マイナンバー・パスポートの保管場所
経歴・生い立ち
・氏名・生年月日・出生時の様子・幼少期の思い出・学歴や職歴・所有する資格・結婚前後の出来事
・自分がどんな人生を送ってきたのかエピソードなど
家族・親族
・家系図(家族、親族一覧)相続人と相続順位の把握する際に役立ちます・養子の有無・連絡先
友人リスト
ほとんどの方は、人との繋がりを持って生きています。友人や職場の同僚、趣味仲間、同窓会などを一覧にして連絡先を添えておくと直ぐに連絡が取れるので、ご家族は助かります。
また葬儀に参列してほしい人も記載しておくとよいですね。
医療
厚生労働省の調査によると、現在ではほとんどの人が病院で亡くなっています。 近年では、延命治療を行わず、慣れ親しんだ施設などで、最後を迎える「看取り」が行われていますが、末期の状態になった時にどの程度の医療行為を必要とするか、家族にとって悩ましい問題です。
あらかじめ家族と決めておくことで「もっと何かできたのではないか」という後悔をさせないための気遣いといえるでしょう。
・かかりつけ病院名・電話番号・持病・既往症・告知について・アレルギー・常用薬
・回復が見込めない場合の延命治療について・終末医療・臓器提供や献体について
介護
・在宅介護・希望する介護施設や内容・費用について・介護をお願いしたい人
・介護してくれる人に伝えたいこと・介護されるときの希望(食べ物・服装・趣味など)
葬儀・お墓
遺影については、お気に入りの写真を選んでおくか、新たに撮影をするのも良いですね。
・葬儀のスタイル(家族葬、密葬など)・葬儀の業者、会場・費用(葬儀、お墓)・宗派・喪主・挨拶をお願いしたい人・参列者への案内・戒名(法名)・香典・菩提寺の名前、連絡先・埋葬方法(納骨、散骨、手元供養など)・承継者
預貯金
通帳や印鑑の保管場所については、ご本人しか知らないケースがほとんどの為、これらの情報が書かれていると家族はスムーズに対応することができます。しかし、保管場所には注意が必要です。情報漏洩を防ぐ為にも信頼できる人物だけに伝えておくと安心ですね。
・銀行名・口座番号・印鑑の保管場所・公共料金やクレジットカードの自動引き落としの情報(銀行名や口座番号、ネットバンキング用のID等)
資産
・有価証券・不動産関係・車・骨董品や貴金属、絵画などの資産価値があるもの
・貸金庫やトランクルームなどの有無・貸しているお金
負の財産
マイナスの財産も相続の対象になる為、漏れなく記しましょう。
・ローン・借金・未払い金・借入先名・返済方法・担保の有無・借金の保証人などの保証債務
保険
・加入している保険会社名・種類・商品名・証書・受取人の確認
年金
・基礎年金番号(公的年金、企業年金、個人年金)
クレジットカード
・カード名やホームページ用ID、紛失時の連絡先・電子マネー
遺言書
遺言書の有無は、遺産分割協議を行うかどうかを決める重要な情報となります。
・遺言書を作成しているか否か・保管場所と種類(自筆証書、公正証書、秘密証書)
・作成時に相談した専門家の連絡先・最新の遺言書の日付
ペット
下記情報があることにより、次の飼い主になる人も飼いやすいでしょう。
・名前・種類・誕生日・血統書・登録番号・いつものエサ・かかりつけ病院名・予防接種
・加入しているペット保険
デジタル情報
最近では中高年の方でもSNSを楽しむ方が増えています。退会手続きを取らなければ、永久にアップされたままになりますので、退会手続きに必要なことも記載しましょう。
・携帯電話解約時の連絡先・Webアカウント・パスワード・パソコンのプロバイダ名・メールアドレス
・ホームページのID・投稿してほしいメッセージなど
その他
ご家族、友人、大切な人、お世話になった方へメッセージを綴りましょう。
最後に
前述のとおり、万が一の場合にご家族が困らないように、またトラブルを事前に回避するために必要不可欠なことは勿論ですが、人は一人で生きることはできません。必ず誰かの存在が自分を創り上げているものです。心では感謝していても、面と向かってお礼を言うのは恥ずかしいものですが「エンディングノート」に、ご家族、大切な人、お世話になった方への感謝の言葉、思い出話、出会えたこと自体が幸せであったことなど・・・ご自身の気持ちを伝えたいと思いませんか。
そうすることで、自ずとどんな最後を迎えたいのか、残りの人生をどう過ごしていきたいのか見えてくるのではないでしょうか。
実際にご遺族からは「エンディングノートのおかげで様々な手続きがスムーズに行えた」「大切な形見になりました」という声が聞かれます。
また、書き終えた人は「人生を振り返り、これから先の人生についても考えるきっかけになった」「心の整理ができスッキリとした気持ちになった」と、口にされます。
皆さまいかがでしたでしょうか?早速『軌跡のノート』に、筆を走らせてみませんか。